iCloud が何であるか、よく分からない人がいるようです。
ここでその歴史的経緯を含めて出来るだけ簡単に説明してみたいと思います。わざわざ、歴史的背景を説明するのは、その方がコンセプトを理解出来、将来に渡っての変化にも対応出来るようになれるとの判断です。
少し回り道に思えるかもしれませんがお付き合いください。
アップルでのカリスマ社長であったスティーブ・ジョブズは、ウォークマンの愛用者でもあった様で、ソニーの井深さんに盛んにネット対応のウォークマンの開発を助言したそうですが、CBSソニーに遠慮したのか実現しませんでしたね。
そんな中、アップルは iPod を発表しました。
そして、iPod に音楽を入れたりするのは Mac の仕事とした訳です。
最初は Windows ではダメで、Mac が無ければ使えないものだったんですね。
その後にケーブルが IEEE1394(DV端子と同じもの)から USB になり、Windows でも使えるようになりました。
この頃にアップルが唱えたのが「デジタル・ハブ構想」です。
パソコン(Mac)を中心として、全てのデジタルデータが管理されるというものですね。デジカメ、音楽プレーヤー、動画など全てがパソコンを中心にデータをやり取りする。
その手始めが iPod だった気がします。
その後に、自ら iTunes Store を立ち上げ音楽の販売も開始しましたよね。
その頃有料サービスで「.Mac(ドット.マック)」というものを始めました。
アップルドメイン(@mac.com)のメールアドレスが貰えて、ウェブサイトが作れるなどの機能がありました。
で、時代が進んで「iPhone」が発売。
初代は日本では利用出来ない、世界標準の通信方式だったので日本では発売されませんでしたが、二代目の iPhone 3G はソフトバンクから発売されましたね。この時に「.Mac」は「mobile me」というサービスに移行しました。
相変わらず有料サービスでしたが、Mac の連絡先(住所録)などが、iTunes を経由せずに同期出来ました。
で、その頃から「iPhone の利用にはインタネットに接続されたパソコンが必須です」というアップルの説明にも拘らず、パソコンを放棄して「iPhone だけで十分」という人が現れた様です。
つまりアップルが考えていた「デジタル・ハブ」のハブ(中心)としてパソコンを拒否されたわけです。
そして、iPhone 4s(iOS5)でアップルは大きく方向転換をします。それはパソコンフリーという事です。
デジタル・ハブ構想の中心となるパソコンを捨てた?
そうではなく、ハブの中心をパソコンから、インターネット(クラウド)へと舵を切ったのです。
既にインターネットの回線もADSLや光が家庭に入ってきており、クラウドとの通信速度が飛躍的に高まっり、一般家庭でもクラウドを実用的に使える体制が整ったと判断したのでしょう。
そして、「mobile me」の有料サービスも「iCloud」という、基本料無料のサービスへと大きく舵を切りなおしました。
今までは iTunes でしか使えなかったバックアップの機能が iCloud に実装され、iOS のバージョンアップも iPhone 単体でできるようになりました。しかし、携帯電話のデータ通信回線を iOS のアップデートや大きなサイズのアプリのダウンロードに利用すると、回線容量を喰ってしまい他のユーザに迷惑が掛かるので、そこは Wi-Fi(固定回線)での利用に限定されます。
しかし、データの中心はパソコンではなく、インターネット(iCloud)となったわけです。
連絡先も、カレンダーも、メモも、バックアップさえ iCloud がその中心に位置することになりました。
そしてその iCloud も日々進化し、機能が強化されています。
写真も最初は楽にパソコンに取り込めるよう「フォトストリーム」が作られましたが、今や写真管理の中心そのものが「iCloud フォトライブラリ」となりました。
iPhone を初めとする周辺機器で撮られた写真は直接、デジカメなどで撮られた写真はパソコンを通じて「iCloud」に保存してしまおうという事です。
そして、容量に制限のある iPhone 等ではオリジナルの写真ではなく、その機器の画面サイズに合った適当なサイズの写真にして容量を倹約しようという事です。
勿論写真を加工するときなどは、iCloud からオリジナルの写真を持ってきて加工出来ます。
クラウド上では家庭用のパソコンや外付けディスクとは比較にならない高信頼度の記憶装置にデータが納められます。
事故でデータを失う確率は家庭に保存するよりも何桁も少なくなります。
昔と違って壊れなくなったとはいうものの、家庭用ですと(一般オフィス用でも)、やはり時々は壊れますよね。
しかしデータセンタのハードディスクは高信頼度のディスクを、RAID呼ばれる技術で何台か壊れてもデータが消えない様にしているうえ、バックアップを作成するなど万全の態勢で保護しています。
今ではパソコンに保存するよりよほど安全です。
そして、写真のみならず、他の、ワープロなどの文書データなども全てクラウドに保存しようと動き出しています。これは Google やマイクロソフトなどでも同じ動きをしていますよね。
パソコンの内蔵ディスクが大容量化の一途を辿っていたのが、特にノートパソコンでは容量は小さくても高速で読み書き出来るSSDに移行しようとしています。
大容量化するよりも、普段使うデータは高速に処理し、その他はより安全なクラウドに保存し、必要時にネットワークで取り込めばよいという考え方ですね。
iCloud や Google Drive、One Drive 全て同じ流れです。
少なくとも当面はこの流れが止まる事は無いでしょう。
iPhone などのスマートフォンのデータ通信も GSM などから3G、そして4Gへとより高速化し、動画さえストリーミングで視聴できる環境が整ってきています(動画を見まくると直ぐに速度制限に引っかかりますけど)。
こうして考えると、スマートフォンの今後の動きもある程度見えて来るでしょう。
家で出来る事は全て外出先でも出来るようになる。
今まではTVの前で大画面で楽しんでいたゲームが、小さい画面でも外で遊ぶ方が楽しいという新しい提案(ポケモンGo)も出てきました。
「検索よりも体験」などという電車のつり広告もありますが、その体験へのナビゲーターとして、スマホが活躍し始めています。
リアルな世界が、バーチャルな世界と融合しつつ、昔一時流行った「ユビキタス」の世界が開けようとしている気がします。
うーん、iCloud の話と言いながら、だいぶ方向がそれたな(笑)。
続きはまた。
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