色々誤解を生んでいるのがSIMフリーに関する記事ではないかと思います。
日本の場合、SIMフリーと格安SIMの話は連動します。通信規格とかの話を含め説明して行きたいと思いますが、結構長い話になります。
ちょとだけ気合を入れてお付き合い下さい。
まず、SIM は「Subscriver identity Module Card」の略で、日本語だと「加入者識別モジュール」になります。
元々のフルサイズのSIMはクレジットカードサイズで、初期のBSカードなどでお馴染みですね。
また銀行のキャッシュカードや、クレジットカードにも使われていてます。
最近のBSカードはミニSIMになって来ている様ですが、携帯電話では(たぶん〕最初からミニSIMサイズで、iPhone 4 で端子ギリギリのサイズのマイクロSIMが採用され、今は一部の端子を省いたナノSIMが多くの携帯電話に採用し始められています。
たぶん人が扱う事を考えたら、このサイズが限界で、より小さいピコSIMは作られないでしょう。
ナノSIMでさえ取り扱いには苦労しますからね。
念の為:
ミニ(ミリ)= 10の-3乗(千分の一)
マイクロ = 10の-6乗(百万分の一)
ナノ = 10の-9乗(十億分の一)
ピコ = 10の-12乗(一兆分の一)
さてこのSIMはサイズ変換のアダプター(数十円)を使えば、よりサイズの大きなSIM用の携帯電話に使う事が可能なので、SIMに限っては「小は大を兼ねる」事になります。
今のところこの携帯電話用のSIMには電話番号とかキャリア程度の情報しか書き込まれていない様です。
一応携帯電話会社からの貸与品なので、解約時には返却する事になってますが、私個人は返せと言われた経験はありません。
機種変の際にサイズが変わった時は、古いSIMはそのまま携帯に入れっぱなしでしたね。
さてさて、今までの日本の携帯電話の本体は、キャリア毎に使えるSIMは自社発行のSIMだけに限定されていました。
これがSIMロック。そもそも携帯電話自体が、ドコモとかauとかキャリアのマークが入ったそのキャリア専用の物しか売られてませんでした。
しかし海外では携帯の本体の製造販売と、携帯の電話回線を運用するSIMを発行する会社は別々なのが基本です。
ユーザーは好きな本体を購入し、好きなキャリアのSIMを別に買って本体に入れて使います。
この様に好きなSIMを使える本体が、SIMフリーと言うものです。
で、アップルが最初に作ったiPhoneは、当時日本では使われていない、世界標準の通信方式のGSMと言う通信方式だけに対応していたので、日本では発売されませんでした。
そして何と、アップルは米国ではAT&Tと組み、SIMロックを掛けて、2年契約で本体価格を割り引くという、まさに日本的な販売方法を取ったのです。
唯一違うのは、世界標準方なので、他国でもそれぞれの国のキャリア(通信会社)と組んで販売した事です。
そして、翌年日本でも採用されている3G形式にも対応した iPhone 3G が発売され、日本でもソフトバンクから販売されました。
この頃世界的に見ると3G回線は最新の通信規格でまだまだ普及していませんでした。
そのため3Gの普及していない地域では、通信方式の設定で「3G」を切って、無駄に3G回線を探してバッテリーを消費しない様に出来ました。
勿論日本では3Gでしか利用出来なかったので、オフにして通信出来ないと騒ぐ人が結構いました。
現在その名残というか、やっと3Gが普及していている段階の所も有る様で、4Gをオフにするスイッチが有りますね。
オフにすると3Gでしか利用出来ません。
ところで日本の携帯メールは標準化されておらず、各社バラバラの仕様。
一応相互通信は可能という状態だったので、iPhone取り扱い時にソフトバンクは世界標準仕様のMMSに対応できず、「@i.softbank.jp」のEメールアドレスを作り、携帯メールとして利用させました。これはauがiPhoneの取り扱い開始時にやはりMMSに対応が間に合わず、「@ezweb.ne.jp」を無理矢理「メール」アプリで使わせたのと同じ様な話ですね。
そのため両社ともその名残があり、理解出来ないユーザーのトラブルの種となってます。
しかしドコモはMMSに対応させる気が全く無く、独自仕様の携帯メールをまるでインターネット標準のEメールの様な顔をして利用させてますね。
ますますEメールと携帯メールの区別が付かないユーザーが増えて困ります。
さてこの様に、誠に日本的な販売戦略で販売を始めた iPhone ですが、元々はSIMフリーでの利用が可能です。
現在は日本でもSIMフリー版も販売されていますが、本体としては同じ物です。
SIMロックかSIMフリーかは、アップルが一元管理しています。
そしてSIMロックの本体でも、その iPhoneを販売した通信キャリアが許可すれば SIMロックを解除してSIMフリーにしてくれます。
アップルのサイトには各キャリアのサービスの一覧があります。
日本を含むアジア地区はこのアドレスになります。
https://support.apple.com/ja-jp/HT203982
他の地域の情報なども見ると、SIMのアンロック(SIMフリー化)対応のキャリアはちゃんと明記されています
最新版ではシムフリー対応も謳われていますね。
その上、ワイモバイルも正式に登録されています。
昔はもっと単純なシムフリー化の対応キャリア一覧でしたが、やはり日本は三社とも「×」でしたね。
余談ながら、上記のサイトでは日本のキャリアは「この国の iPhone は、緊急地震速報の受信機能に対応しています。」となっていますね。
こんな事もアップルが一元管理してるんですね。
さて、インターネット上には iPhoneのSIMロック解除をする「ファクトリーアンロック」の会社が有りますね。
実はこの会社も直接個々のiPhoneのSIMロックを解除している訳でなく、アップルが管理しているSIMロックの情報を書き換えているだけです。
その為基本的には「日本で過去に販売された iPhone」のSIMロック解除は、日本のキャリアの許可が無いため出来ません。
日本の iPhone も可能と言っている会社も、殆どは「詐欺まがい」で、金だけとって解除はしてくれません。
そして日本の消費者センターは海外の業者なので手出し出来ず、現地の消費者センターは海外在住の外国人なので相手にしてくれません。
注意して下さい。
中には良心的に成功報酬的な業者もいる様ですし、SIMロック解除出来た例もある様ですが、前記した様にアップルはキャリアの許可が無ければSIMロック解除には応じていないので、何らかの裏作業で行っているのでしょう。
昔、ほんの一時、この管理サーバの情報を勝手に書き換えてSIMフリーにしてしまう裏技が発覚しました。
アップルは直ぐに対応した為、この手法で解除出来たのは少数の方だけだった様です。
私も後手に回った口です。(笑)
なお、日本のキャリアでも iPhone 6s 以降はSIMロック解除に応じてますが、これはキャリアが直接「ファクトリーアンロック」の作業を行っているだけの様です。(あるいは何処かの業者に作業委託してるか)
さて、SIMロックを外して、SIMフリー化された iPhone(その他のスマホも同じ)ならば、何処の携帯通信事業者のSIMでも使える様になります。
少なくとも「電話」と「SMS」はそのまま使えます。
何処かのSIMを入れた途端そのSIMのキャリアにロックされるのではと心配する方もおられる様ですが、そんな事はありません。
何度でも差し替え可能です。
さて、データ通信に関しては、アップル公認キャリアはアクセスする先(AP)の情報は全て iPhone に記載済みです。
そのおかげで、SIMを挿入すればそのまま繋がります。
しかし、公認キャリア以外の場合には、データ通信の設定画面にメニューが表示され、自分で設定してあげる必要があります。
ドコモがiPhoneの取扱を始める前は、SIMフリーの iPhone にドコモのSIMを入れると、メニューにAP設定のメニューが表示されましたが、今は公認キャリアになったお陰で、そのメニューは表示されません。
Android はその様な機能は無い様ですので、自分でAPを設定する様ですね。
で、iPhoneのこの便利機能は格安SIMを利用する際にちょっとした邪魔をしてくれます。
格安SIMは独立した携帯通信事業者ではないのです。
あくまでも大手キャリアから通信回線をまとめ買いして、それを小分けして販売しているだけです。(その差額で商売している)
殆どはドコモの回線ですよね。
これはドコモが「電電公社」と言う独占企業時に、税金で電話回線を整備していた関係で、対応を拒否出来ないという事情があるからで、auも国際電話の独占企業だった名残で対応させられてます。
ソフトバンクは最初から私企業なので、回線の切売に対応する義務は無いと言う事ですね。
閑話休題。
で、格安SIMは元々はドコモやauの回線です。
その為SIM自体もドコモやauのものですから、iPhone の場合は勝手にドコモやauのAPに繋ぎに行きます。
しかし当然ながら、自動的に設定されたAPの先はドコモのインターネット回線です。
格安SIMの会社は独自にインターネット回線を構築しています。
当然ながらドコモなどのAPとは別の場所。
そのままでは通信出来ません。
しかしその通信先を設定をするメニューは開きません。
その為AP設定用に「設定ファイル」を格安SIM各社は用意していますので、そのファイルをダウンロードしてインストールしないといけないのです。
ちょっと面倒ですが、これは日本独特の話になるのかな?
海外では複数キャリアが回線サービスだけで争っているのが普通で、iPhone みたいに本体と回線サービスのセットが珍しく、回線サービスも独自の回線を使った物がメインなのでしょう。
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